設備設計・メンテナンスの実務において、ポンプの故障は大きく「水が出ない(水理的)」「異音・振動(機械的)」「動かない(電気的)」「水漏れ」の4つに分類されます。
それぞれの具体的な原因とチェックポイントを整理しました。
1. 水が出ない・水量が減った(水理的な原因)
ポンプは回っているのに、水が全く出ない、または極端に水量が減るトラブルです。
- 呼び水不足・空気の抱き込み
- 吸込配管やポンプ内に空気が溜まっていると、遠心力が働かず汲み上げられません。
- フート弁(逆止弁)の不具合
- 吸込管の先端にあるフート弁にゴミが挟まり、水が抜けてしまっている(落水)。
- 吸込揚程(高さ)の限界・キャビテーション
- 水源が低すぎる、または吸込配管が長すぎて抵抗が大きくなり、ポンプ内で気泡が発生して揚水不能になっている。
- インペラ(羽根車)の摩耗・詰まり
- 砂や異物を吸い込んでインペラが摩耗している、またはゴミが詰まっている。
2. 異音・振動がする(機械的な原因)
運転中に「ゴー」「ガラガラ」といった異音がしたり、異常に振動したりするトラブルです。
- ベアリング(軸受)の摩耗・グリス切れ
- 経年劣化によるベアリングの破損。最も多い異音の原因です。放っておくとシャフトが焼き付きます。
- 芯出し不良(カップリングのズレ)
- モーター軸とポンプ軸のセンターがずれている(直結ポンプの場合)。
- キャビテーションの発生
- 「砂利を巻き込んでいるような音」がする場合、吸込側の圧力低下で気泡が破裂するキャビテーションが起きています。
- アンカーボルトの緩み
- 架台や基礎への固定が緩んでいる。
3. モーターが回らない・ブレーカーが落ちる(電気的な原因)
スイッチを入れても動かない、またはすぐに過電流でトリップするトラブルです。
- インペラのロック(異物噛み込み)
- 錆や砂、ゴミがインペラに挟まり、モーターが回ろうとしても回れず、過電流が流れてサーマルリレー(保護装置)が作動する。
- 電気系統のトラブル(欠相・電圧低下)
- 三相3線式のうち1線が断線している(欠相運転)、または供給電圧が低下している。
- マグネットスイッチ(電磁開閉器)の接点不良
- 制御盤内のマグネットスイッチの接点が摩耗・炭化して電気が流れていない。
- モーターコイルの焼損
- 絶縁劣化によりモーター内部でショート(短絡)が起きている。
4. 水漏れがする(シール部の原因)
ポンプ本体や配管の接続部から水が漏れるトラブルです。
- メカニカルシールの摩耗・破損
- 軸封部(シャフトの回転部)からの漏水。空運転(水がない状態での運転)をすると、一発で熱破損します。
- グランドパッキンの劣化
- パッキン押さえの調整不足、またはパッキン自体の経年劣化(多少のポタポタ落水は正常ですが、流れるような漏水は異常です)。
- Oリング・ガスケットの劣化
- ケーシング(本体の継ぎ目)や、配管フランジ接続部のゴムパッキンの寿命。
実務での簡易診断フロー
現場で故障が発生した際は、以下の順番で確認すると原因を特定しやすいです。
- 「電源・盤」の確認:ブレーカーは落ちていないか?サーマルは作動していないか?
- 「手回し」の確認:電源を切り、軸を手でスムーズに回せるか?(回らなければロックかベアリング破損)
- 「呼び水」の確認:ポンプ内に水は満ちているか?(自吸式の場合)
- 「運転音」の確認:異音はないか?電流値は定格内か?
故障の原因を特定する際の参考にしてください。具体的な状況(例:〇〇ポンプが回るが水が出ない、など)を教えていただければ、さらに絞り込んだアドバイスが可能です!
