チラーや外調機(OHU)が異なる階に配置された空調設備のポンプ揚程計算でお困りではありませんか?高低差の扱いや密閉回路における圧力損失の計算手順、Jw_cadでの図面化における注意点を分かりやすく解説します。
疑問(Q)
空調用循環ポンプの揚程の計算方法を教えてください。3階にポンプ内蔵式の空冷式ヒートポンプチラーとヘッダー(設置高さ約15.6m)、1階に外調機(OHU)が設置されているシステムです。高低差は揚程に影響しますか?
回答(A)
このシステムは配管内を水が循環する「密閉回路(密閉系)」とした場合は、階高差(15.6m)による実揚程は0mとなります。
ポンプが負担すべきなのは、配管や機器類を通る際に生じる「全圧力損失(摩擦抵抗)」のみです。
具体的にな計算手順と実務上の重要ポイントは以下の通りです。
- 密閉回路の基本原則(実揚程=0m)
- 往き(下り)の水重力と還り(上り)の水重力が相殺されるため、高低差を押し上げるための揚程は不要です。
- 揚程(全圧力損失)の計算手順
- 直管の摩擦抵抗: 往復の配管長さ(m)× 単位摩擦損失(100〜250 Pa/m程度、平均150 Pa/m)。
- 局所抵抗(継手類): エルボやチーズ等の曲がり角の抵抗。直管抵抗の50%〜100%を加算。
- 機器・弁類の抵抗: 外調機(OHU)のコイル圧損(約30〜50 kPa)、ヘッダー、ストレーナー、自動弁などの圧力損失(約20〜40 kPa)を合算。
- 安全率の考慮: 合計圧力損失に10〜20%程度の安全率を見込み、必要全揚程(m)を算出(10 kPa ≒ 1mH₂O)。
- ポンプ内蔵チラーにおけるチェックポイント
- カタログ記載の「機外静圧(または有効揚程)」が、計算した外部配管・機器の全圧力損失(往復)を上回っているか確認します。不足する場合は、外部にブースターポンプ(二次ポンプ)の設置が必要です。
まとめ・注意点
Jw_cadで空調配管系統図や機器表を作成する際は、単に機器の能力だけでなく「配管ルート上の全圧力損失」と「チラーの機外静圧」が適合しているかを注記や計算書で明確にすることが重要です。
運用中のストレーナー目詰まりや将来のスケール付着を見越し、バルブや機器類の圧損は安全側に余裕をもたせて試算してください。また、配管ルート確定後は必ず各機器メーカー(チラー・OHU)の最新承認図の圧損値を反映させ、設備設計者や施工管理者と協議を行ったうえで図面を仕上げてください。
